Profile

すぎやま たけし

杉山 武志

現職:兵庫県立大学環境人間学部 教授
兵庫県立大学大学院環境人間学研究科 教授

学位:博士(創造都市), 大阪市立大学

●略歴
 1978年 京都府生まれ。2001年3月 立命館大学産業社会学部卒業。2012年3月 大阪市立大学大学院創造都市研究科博士後期課程修了。経済団体職員、大阪市立大学都市研究プラザ特別研究員、ひょうご震災記念21世紀研究機構研究調査本部主任研究員を経て、2015年4月 兵庫県立大学環境人間学部准教授。2024年4月より現職。兵庫県立大学環境人間学部エコ・ヒューマン地域連携センター長。専門は社会経済地理学、地域コミュニティ論、都市・地域政策論。主著に『次世代につなぐコミュニティ論の精神と地理学』学術研究出版(単著)、『兵庫から地方の新しい未来を探る』神戸新聞総合出版センター(共著)など。
●所属学会
経済地理学会、人文地理学会、日本地理学会、日本地域経済学会、兵庫地理学協会
研究の志向

 専門は人文地理学です。なかでもコミュニティにかかわる研究を進めています。一般的にコミュニティは、都市社会学や都市計画学などから研究されることが多いと思います。他方で私は、人びとが集う/集いやすいコミュニティをどのように創造する必要があるのか、社会経済地理学からのアプローチを試みています。 近年の主たる研究テーマは次の3つです。なお、研究業績の詳細は、「兵庫県立大学研究者情報」「researchmap」をご参照ください。

コミュニティ論における地理学的精神の再発見
 都市のメディア化やデジタルプラットフォームが隆盛を極めるなか、ネットワークやサイバー空間を「コミュニティ」に見立てる研究が増えています。しかし、もともとコミュニティという概念には、人間関係の議論とともに地理的な要素が多分に含まれていました。ネットワークの役割に一定の理解を示しつつ、他方で、私たちのかけがえのない大地で連帯の気持ちを育み続けられるよう、場所、地域、領域、近隣、風土、スケールといった地理学の基本的な見方を基盤に、コミュニティ論の地理学的精神を再発見する研究を進めています。
◆主な研究成果
杉山武志(2020):『次世代につなぐコミュニティ論の精神と地理学』学術研究出版
杉山武志(2022):創造都市論のために―都市リテラシーの再考と近隣の再発見―, 『兵庫県立大学環境人間学部研究報告』24, pp.53-69
大都市圏経済の支柱としてのコミュニティ経済
 大都市の中心地で繰り広げられる「都市再生」など巨大資本がうごめく空間の建造ではなく、身近な街で培われたネイバーフッド的なコミュニティの場所性やなりわいによって大都市圏経済の支柱が育まれている実体を研究しています。そして、私たちの生活の拠り所としての身近な街のコミュニティとその経済を次世代につないでいくために、人びとが互いに多様性を尊重し合いながら地域アイデンティティを育む学びあいをいかに進める必要があるのか考察しています。
◆主な研究成果
杉山武志(2020):大都市圏経済の支柱としてのコミュニティ経済, 『経済地理学年報』66, pp.299-323
杉山武志(2023):コミュニティ経済と中心市街地のまちづくり-より善き経済, イノベーション, 都市の創造性-, 『都市計画』72(5), pp.42-45
惑星の都市化の抑制と倫理的な資本主義の都市論
 気候危機やコロナパンデミックも交差した世界的潮流として、資本主義をめぐる政治経済学的なパラダイム転換を求める声があります。2020年代の人文地理学においても、惑星の都市化が資本主義のあり方とともに問われています。そうしたなか都市化を抑制する処方箋の一つとして、多様な経済への倫理的な配慮が重視されるコミュニティ経済論を考察しています。そのうえで、倫理的な資本主義の都市論の構築が果たして可能なのかどうか模索しています。
◆主な研究成果
杉山武志(2022):倫理的都市論とコミュニティ経済論―惑星の都市化への処方箋―, 『兵庫県立大学環境人間学部研究報告』24, pp.71-90
杉山武志(2023):惑星の都市化をめぐるコミュニティ経済の憂慮-倫理的資本主義のゆくえと「新自由主義的統治」-, 『地域経済学研究』44, pp.25-42